- 受講者の声
- 2026.2.17
「使う側」の視点から脱却。ステークホルダーと描く製品化への道
東京科学大学
矯正歯科
大森 浩子 様

事務局
ではまず、ご自身の簡単な自己紹介と、このプログラムに応募した理由を教えてください。
大森
東京科学大学病院の矯正歯科で診療を行っています。
診療を行う傍らで研究も進めておりまして、その中で歯ぎしりに着目し、測定システムを考えるようになりました。
実際に製品化を目指す中で、どのように進めていけばよいのか分からない点が多く、行き詰まっている部分もありました。
医療分野の開発に関して、これまでも講習や講座を受講したことはあったのですが、医薬品を対象としたものが多く、医療機器に関しては情報が少ないと感じていました。
本プログラムが開催されると聞き、医療機器開発をテーマとしているということで、ぜひ参加したいと思い、応募しました。
事務局
実際にプログラムが始まって、最初の課題、POV(Point of View)やHMWQに取り組んでみていかがでしたか。

大森
POVという視点で物事を考えたことが、これまでほとんどなかったので、最初は戸惑いました。
なんとなく「こういうものが必要なのではないか」というイメージで動いていた部分が大きかったと思います。
ただ、誰のためなのか、何のためなのか、という問いを繰り返し投げかけられる中で、本当に解決が必要なものは何なのか、何が求められているのか、ということを先生方とのディスカッションを通して考えるようになりました。
先生方だけでなく、グループでディスカッションする中で、他の受講者の先生方からも刺激を受け、とても考える良い機会になりました。
また、最初から方向性を絞り込むのではなく、まずは多くのクエスチョンを挙げていく、という進め方も、自分にとっては新鮮で、大変勉強になりました。
事務局
学習チームや多職種チームでの経験はいかがでしたか。
大森
今回参加されている方は、東京科学大学の先生方に限らず、他大学の先生方や企業の方もいらっしゃり、本当にさまざまなバックグラウンドを持った方の集まりでした。
皆さんが医療機器開発という共通の目的を持っているので、お互いに刺激が多く、非常に勉強になる環境だったと思います。
その中で、自分の強みや弱み、自分の特徴というものが、はっきり見えてきたように感じました。
私は医療系なので工学の分野には詳しくありませんが、そうした視点を学ぶことができましたし、課題を与えられたときに、皆さんがまったく違う視点から意見を出されるのを見て、どこを見ているのかがよく分かりました。
一方で、日常的に臨床に出ている立場として、患者さんが実際にどこに困っているのか、表に出ている訴えとは違う本音の部分など、そういった視点をチームに提供できる役割もあるのかなと感じました。
チームの中での自分の役割が見えてきたという点も、大変勉強になりました。
事務局
国際的な視点については、何か印象に残ったことはありますか。
大森
まず、このプログラム自体の仕組みが、日本的というよりも国際的だと感じました。
全体の流れが見える構成になっていて、ただ講義を受けて学ぶというよりも、自分たちで作っていくスタイルだったことが印象的でした。
海外の事例や、アメリカではどのように進めているのかといった具体的なお話を伺う中で、自分がもし製品を作っていったら、こういう流れになるのか、というイメージが持てるようになりました。
日本にいながら、海外でプログラムを受けているような感覚がありました。
事務局
このプロジェクトに関わってみて、気になって実際にご自身の業務の中で調べてみたことはありますか。
大森
はい、ありました。
ビジネスモデルキャンバスに取り組む中で、「誰が購入を決めるのか」という話が出てきて、実際に自分の大学では医療機器の購買がどのように決まっているのかが気になり、調べてみました。
調べてみると、少額なものと高額なものではプロセスが違うことが分かりましたし、高額な場合には、教授会や上層部、事務方も含めて、複数の視点で判断されているということを改めて知りました。
また、費用対効果や、患者さんにどのような影響があるのかといった点も、しっかり見られているということが分かりました。
これまで私は、どうしても「使う側」のことだけを考えていたのですが、実際には多くのステークホルダーが関わっているということを、具体的に理解できたのは大きな気づきでした。
企業の方と話をする際にも、共通言語のようなものを少し持てた感覚があり、その点はとても良かったと思っています。
事務局
一気通貫で、企画から事業化・臨床までを見せる、という点についてはどう感じましたか。
大森
最初にアイデアが生まれて、それが形になり、実際に製品として世に出ていくまでの流れを一連で見せていただいたことで、
自分はまだそこまで行っていないけれど、「この先こういうことが起こるかもしれない」「だから今はこれをしておく必要がある」というのが、非常に分かりやすくなりました。
一部分だけではなく、全体の中で自分が今どこにいるのかが分かるようになったのは、とても大きかったと思います。
事務局
今後、このプログラムを通じて、次にやりたいことは何でしょうか。
大森
実際に製品化を見据えて、製販の企業さんとタイアップし、世に出す手前の試験をクリアするところまで進めていきたいと考えています。
次の一手としては、そこになると思っています。
事務局
最後に、このプログラムに参加するか迷っている方に向けて、一言お願いします。
大森
一言で言うのは難しいですが、とにかく実践的に学べるプログラムだと思います。
医療機器開発を体系的に学べる機会は多くありませんし、自分のプロジェクトに実際に取り組みながら進められる点は、大きな特徴だと思います。
