Feedback受講者の声
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「なぜ届かない?」研究を形にするための思考と言葉を得た時間

事務局
本日はよろしくお願いいたします。まず、これまでのご研究について教えてください。
伊藤
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
私は耳科領域の手術に携わりながら、CTを用いた3D可視化や、AR表示を活用した術中ナビゲーションの研究を行ってきました。研究自体は長年継続しており、学会発表や論文として成果をまとめるところまでは到達しています。
事務局
今回、このプログラムに応募された背景をお聞かせください。

伊藤
デバイス開発を進める中で、常に引っかかっていたのが「この技術が、実際にどのように社会に届くのか」という点でした。
学会では評価され、企業の方や共同研究の場でも「面白いですね」と言っていただけるのですが、そこで話が終わってしまうことが多い。
どの臨床シーンで使われるのか、導入のタイミングはいつか、初期導入を担うのは誰なのか——そうした問いに対して、自分の中で整理された説明ができていないことに、ずっと違和感を抱いていました。事務局
「技術としては成立しているけれど、その先が語れない」という感覚でしょうか。
伊藤
まさにその通りです。
研究としては成立している。しかし、社会実装の文脈で語ろうとすると、言葉が途切れてしまう。
その経験を重ねる中で、これは自分の能力不足というより、「これまできちんと学んでこなかった領域なのだ」と思うようになりました。
それが、今回このプログラムに応募した理由です。事務局
現在のご所属や、日常業務についても教えてください。
伊藤
大学病院の講師を務めています。
業務の内訳としては、半分以上が臨床で、手術や外来を担当しています。
約3割が学生教育で、医学部5・6年生の講義や試験問題の作成、教育全体の責任を担っています。
残りの2〜3割が研究です。以前は動物実験も行っていましたが、現在は臨床研究が中心になっています。事務局
その忙しさの中で、新しいことに踏み出すのは簡単ではないですよね。
伊藤
正直、その通りです。
「時間がない」というのは言い訳でもありますが、臨床・教育・研究を同時に回していると、どうしても優先順位が下がってしまう領域が出てきてしまいます。事務局
「社会実装」という言葉を、どのように捉えていますか。
伊藤
アメリカではあまり使われない言葉ですが、日本では、研究成果が商品化され、さらにそれが実際に広く使われるところまで含めて使われている印象があります。単に製品になるだけでなく、現場で使われ、定着して初めて「社会実装」だと思っています。
実際、商品化されたにもかかわらず使われていない医療機器は少なくありません。I-Corps・BMCとの出会いがもたらした気づき
事務局
本プログラムが参考にしている、米国NIH/NSFのI-CorpsやBMCといった考え方には、これまで触れたことはありましたか。
伊藤
ほとんどありませんでした。
今回初めて、「これほど時間をかけて仮説検証やインタビューを行うのか」と知り、非常に衝撃を受けました。
研究というと、どうしても技術を詰める方向に意識が向きがちですが、「それは本当に必要とされているのか」を問い続ける姿勢が、これまでの自分には欠けていたと感じています。医療機器が「使われない」理由を言語化する
事務局
臨床現場で、既存の医療機器に対して感じていた違和感はありますか。
伊藤
あります。特にナビゲーションシステムです。
臨床的には、必ずしも極端な高精度や多機能が求められているわけではないのに、操作が煩雑だったり、準備が大変だったりして、結果的に使われなくなる。
今回、POVやバイオデザインの考え方を学び、設計の初期段階でユーザー視点が入っていないと、そのズレは最後まで残るということを、はっきり理解できました。事務局
今回の経験を経て、ご自身の考え方や行動は変わりそうですか。
伊藤
間違いなく変わると思います。
これまでは、「なぜリジェクトされるのか分からないまま」グラントを書いていましたが、今は「誰のペインを解決するのか」「実際に使うのは誰か」「企業はどう見るか」を意識するようになりました。学習環境とツールの効果
事務局
Canvasなどのツールを使った学習環境についてはいかがでしたか。
伊藤
非常に良かったです。
他の参加者の課題や、メンターのコメントを見られることは大きな学びでしたし、文字起こしや各種ツールが、思っていた以上に簡単に使えることも分かりました。
「もっと自分で試してみたい」「組み合わせて使ってみたい」と思えるようになったのは、大きな変化です。事務局
最後に、今回のプログラムを一言で振り返ると?
伊藤
「なぜ今まで分からなかったのかが、やっと分かった」という感覚です。
研究を形にしたい、社会に届くところまで持っていきたい。
そのための考え方と言葉を得られたことが、何より大きかったと思います。東京科学大学
耳鼻咽喉科伊藤 卓

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「まだ変われる」20年の経験を武器に、未経験の領域へ挑む

事務局
本日はありがとうございます。まずは簡単に、片倉さんご自身についてご紹介いただけますか。
片倉
はい。現在は グーグル合同会社 にて、YouTubeにおける医療・健康分野におけるパートナーシップを担当しています。
これまで20年以上、医療機器や製薬分野でマーケティングに携わってきました。特に医療機器では内視鏡、麻酔、救急関連のディスポーザブルデバイスなど、さまざまな製品や領域に関わってきました。完成した製品を市場に届ける仕事が中心でしたが、その過程で「もっと早い段階で関われたら違う結果になったのでは」と感じる場面も多く経験してきました。事務局
そのようなご経歴を踏まえて、このプログラム全体を振り返ると、どのような時間だったと感じていますか。

片倉
率直に言うと、思っていた以上にコミットメントが求められました。
単に知識を学ぶというよりも、自分自身がどれだけ本気で向き合えるかを常に問われている感覚がありました。正直に言えば、時間的にも精神的にも大変でしたが、その分、逃げずに取り組めば必ず何かが残るプログラムだったと思います。
中間発表を通じて、参加者それぞれが自分なりの問いを持ち、それを必死に言葉にしようとしている姿が印象的でしたし、チームとしての完成度も回を追うごとに高まっていったと感じました。事務局
多様なバックグラウンドの参加者が一緒に学ぶ点も、このプログラムの大きな特徴でした。
片倉
そこは本当に大きかったです。
医師の方と仕事をする機会はこれまでもありましたが、ここまでフラットに、しかもアイデアがまだ固まっていない段階から、思考のプロセスそのものを共有する経験はほとんどありませんでした。
臨床領域も違えば、専門用語や前提条件も違う。その中で、自分の考えをどう噛み砕いて伝えるか、相手が何を大事にしているのかを理解しながら話す必要がありました。
結果として、「伝える力」だけでなく、「聞く姿勢」や「問いの立て方」も自然と鍛えられたように思います。事務局
このタイミングで参加された背景についても、改めて伺えますか。
片倉
20年以上マーケティングの仕事を続けてきて、ある意味では自分の専門性や立ち位置が固まりつつある一方で、「この先、同じ延長線だけでいいのだろうか」という問いが常に頭のどこかにありました。
完成した製品を見て評価する立場だからこそ、「もっと上流でこの視点が入っていれば」「本当の価値は別のところにあるのでは」と思うことが多々ありました。
そうした違和感を、自分の中で整理するだけでなく、実際に行動として試せる場を探していたときに、このプログラムに出会いました。事務局
実際に参加してみて、「コミュニティで学ぶ」という点はいかがでしたか。
片倉
座学で知識を受け取る学びとは、全く質が違いました。
バックグラウンドが異なる人たちが集まることで、「自分にとって当たり前」だった考え方が、必ずしも当たり前ではないと気づかされます。
自分の考えを整理し、言葉にし、相手の反応を受けてまた考え直す。その繰り返しが学びになっていました。
また、実際のステークホルダーに近い視点からのフィードバックをもらえることで、「机上の空論ではない」という緊張感が常にありました。事務局
キャリア、特にリスキリングという観点では、どのような気づきがありましたか。
片倉
私たちの世代は、これまで積み上げてきた経験だけでは通用しなくなる局面に入っていると強く感じています。
雇用は長期化し、肩書きや役職がそのまま価値を保証してくれる時代ではありません。
若い世代や異なる業種、立場の方と同じ場で学び、全く異なる分野の考え方に触れることで、「経験を活かすチャンスはある」「自分はまだ学べる」「まだ変われる」と実感できたことは、個人的にとても大きな収穫でした。事務局
BMCや市場分析など、プロセス面についてはいかがでしたか。
片倉
マーケティングの立場から見ると馴染みのあるフレームワークですが、「自分自身のアイデア」を題材にすると、難易度も緊張感も全く違いました。
会社では、ある程度前提条件が整った課題に取り組みますが、ここでは前提そのものを問い直す必要がありました。
率直なフィードバックを受けることで、自分の思考の癖や弱点にも気づかされ、仕事への向き合い方を見直すきっかけになりました。事務局
今回、AIを使って実際にソフトウェアを開発した経験についても触れていただけますか。
片倉
とても印象深い経験でした。
AIの進化を頭では理解していたつもりでしたが、エンジニアバックグラウンドのない私が、実際にAIツールを用いてチャットボットを作成しましたが、「ここまでできるのか」と驚きました。同時に、多くの仕事の在り方が変わっていくことへの危機感も感じました。
一方で、専門家やエンジニアの方と対話しながら進めることで、「自分でも医療に関わるプロダクトづくりに一歩踏み出せるかもしれない」と思えたのは大きな収穫でした。事務局
最後に、これから参加を迷っている方へ、メッセージをお願いします。
片倉
キャリアの後半に入っている私たちの世代は、これからのキャリアについて迷っている時間があまりないと感じています。
少しでも気になる、何か引っかかるものがあるなら、環境を調整して飛び込んでみる価値は十分にあります。
完成した製品しか見てこなかった人ほど、上流のプロセスを知ることで、視野や役割の可能性は大きく広がると思います。
「何かを変えたい」「次の一歩を考えたい」と思っている方には、ぜひ、おすすめしたい機会です。グーグル合同会社
片倉 陽子

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「臨床は医師任せ」を卒業。FIHの壁を越える当事者への変化

事務局
まず最初に、簡単にご自身のことと、SPL Academyに応募したきっかけを教えてください
石橋
帝人ファーマで在宅医療機器事業の研究グループに所属しています。
私はこれまでレーザーを用いた研究を行ってきましたが、動物実験の段階では一定の効果がを確認できていたものの、それを社会実装するためには人での臨床研究が必要で、まずはファースト・イン・ヒューマン(FIH)を避けて通れない状況でした。一方で、私は研究所の人間で、臨床研究の経験はほとんどなく、「何から始めればいいのか分からない」というのが正直なところでした。
そうした中で、SPL Academyが、ボストンで実際に行ってきたトランスレーショナルリサーチや教育の考え方を基盤にしたプログラムだと知り、研究成果を人に届けるまでのプロセスを、FIH臨床研究まで含めて体系的に学べる点に魅力を感じて応募しました。事務局
実際にSPLの講義を受講されてみて、特に印象に残っていることはどんな点でしょうか。
石橋
Canvas(事務局注:講義で用いているオンライン教育環境)を通じて、FIHをどのような考え方や段階で進めていけばよいのかが、非常に具体的に示されていました。
特に印象に残っているのは、講義で繰り返し強調されていた
「最初から有効性を示そうとしなくていい」という考え方です。
まずはデバイスが安全に動作するか、操作として問題がないかといった“動作の安全性”“デバイスの安全性”を確認するところから始め、倫理的なハードルを下げた形で一歩ずつ進めていく。その先に有効性評価がある、という段階的な考え方が、とても腑に落ちました。
ハーバード大学で実際に行われているFIHの具体例を交えて説明していただいたことで、「理論」ではなく「現実としてどう進められているのか」をイメージできた点も大きかったです。事務局
臨床ニーズ検証やチームでのワークを通じて、印象に残っていることはありますか。
石橋
企業の人間として、自分の立場の限界を強く意識するようになりました。
私たちはどうしても、インタビューや限られた場面を切り取った情報から現場を理解しようとしますが、臨床医の先生方は日々、目の前の患者さんの困りごとを実感として持っておられます。
波多先生が、「企業側は現場を想像することはできても、体感することはできない。そのギャップを放置してはいけない」とお話しされていたのが、とても印象に残っています。
そのギャップにどう向き合い、どう埋めていくかを丁寧に教えていただく中で、「これは企業だけで完結させてはいけない」「臨床医の先生と一緒に取り組まなければ、本当に意味のあるものにはならない」と、強く感じるようになりました。事務局
講師の方々とのやり取りの中で、特に印象に残っていることはありますか。
石橋
(メンター制度では)波多先生が「個人指導塾の家庭教師のような関わり方」と表現されていましたが、実際に受講してみて、その意味がとてもよく分かりました。
講師の先生方がしっかり時間を取って、一人ひとりの状況に応じて丁寧にコメントやフィードバックをくださり、単に講義を受けるというよりも、近い距離で伴走してもらっている感覚でした。
そうしたやり取りを重ねる中で、先ほど述べたように「これは企業だけで完結させてはいけない」「臨床医の先生と一緒に取り組まなければ、本当に意味のあるものにはならない」と、自然に感じるようになりました。事務局
多様なバックグラウンドの受講者や講師と取り組む経験はいかがでしたか。

石橋
非常に貴重な経験でした。
正直に言うと、企業側の人間として、臨床医の先生方に対して無意識のうちに心理的なハードルを感じていた部分がありました。
ただ、毎週のように議論を重ねる中で、先生方も同じように悩み、試行錯誤されていることが分かりました。海外でも「医師も研究者も、みんな同じように悩みながら進めている」と話されていた言葉で気持ちが楽になり、次第に「特別な存在」ではなく「同じプロジェクトを進める仲間」だと感じられるようになりました。事務局
中間発表会を振り返って、どのように感じられましたか。
石橋
振り返ってみると、多くの学びが得られた発表だったと思います。
特に、「この課題を放置すると何が起きるのか」「なぜ今解決しなければならないのか」という点について、まだ十分に伝えきれていなかった、というフィードバックをいただきました。
先生方が講義の中でおっしゃっていた「技術やアイデアの良さだけではなく、なぜ“今”それをやるのかを語れなければ、人には届かない」という言葉を、身をもって理解する機会になりました。事務局
このプログラムを通じて、ご自身の中で最も大きな変化は何だったと思いますか。
石橋
「臨床を自分ごととして考える」ようになったことです。
以前は、「自分はエンジニアだから臨床は医師に任せればいい」と、どこかで線を引いていました。
しかし、波多先生が繰り返し示されていた「その姿勢こそが、トランスレーションを止めてしまう」
という言葉に強く考えさせられました。医師ではなくても、臨床研究のデザインを一緒に考えることはできるし、考えなければいけない。そのスタンスを、今後も大切にしていきたいと思っています。事務局
最後に、SPL Academyへの参加を迷っている方へメッセージをお願いします。
石橋
企業にいると、どうしても同じ属性の人としか議論しなくなります。
SPL Academyでは、自分の研究に、これまでになかった視点が次々と入ってくる。そういう意味で、とても刺激的で、視野を大きく広げてくれるプログラムだと思います。帝人ファーマ株式会社
医療技術研究グループ石橋 直也

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「使う側」の視点から脱却。ステークホルダーと描く製品化への道

事務局
ではまず、ご自身の簡単な自己紹介と、このプログラムに応募した理由を教えてください。
大森
東京科学大学病院の矯正歯科で診療を行っています。
診療を行う傍らで研究も進めておりまして、その中で歯ぎしりに着目し、測定システムを考えるようになりました。
実際に製品化を目指す中で、どのように進めていけばよいのか分からない点が多く、行き詰まっている部分もありました。
医療分野の開発に関して、これまでも講習や講座を受講したことはあったのですが、医薬品を対象としたものが多く、医療機器に関しては情報が少ないと感じていました。
本プログラムが開催されると聞き、医療機器開発をテーマとしているということで、ぜひ参加したいと思い、応募しました。事務局
実際にプログラムが始まって、最初の課題、POV(Point of View)やHMWQに取り組んでみていかがでしたか。

大森
POVという視点で物事を考えたことが、これまでほとんどなかったので、最初は戸惑いました。
なんとなく「こういうものが必要なのではないか」というイメージで動いていた部分が大きかったと思います。
ただ、誰のためなのか、何のためなのか、という問いを繰り返し投げかけられる中で、本当に解決が必要なものは何なのか、何が求められているのか、ということを先生方とのディスカッションを通して考えるようになりました。
先生方だけでなく、グループでディスカッションする中で、他の受講者の先生方からも刺激を受け、とても考える良い機会になりました。
また、最初から方向性を絞り込むのではなく、まずは多くのクエスチョンを挙げていく、という進め方も、自分にとっては新鮮で、大変勉強になりました。事務局
学習チームや多職種チームでの経験はいかがでしたか。
大森
今回参加されている方は、東京科学大学の先生方に限らず、他大学の先生方や企業の方もいらっしゃり、本当にさまざまなバックグラウンドを持った方の集まりでした。
皆さんが医療機器開発という共通の目的を持っているので、お互いに刺激が多く、非常に勉強になる環境だったと思います。
その中で、自分の強みや弱み、自分の特徴というものが、はっきり見えてきたように感じました。
私は医療系なので工学の分野には詳しくありませんが、そうした視点を学ぶことができましたし、課題を与えられたときに、皆さんがまったく違う視点から意見を出されるのを見て、どこを見ているのかがよく分かりました。
一方で、日常的に臨床に出ている立場として、患者さんが実際にどこに困っているのか、表に出ている訴えとは違う本音の部分など、そういった視点をチームに提供できる役割もあるのかなと感じました。
チームの中での自分の役割が見えてきたという点も、大変勉強になりました。事務局
国際的な視点については、何か印象に残ったことはありますか。
大森
まず、このプログラム自体の仕組みが、日本的というよりも国際的だと感じました。
全体の流れが見える構成になっていて、ただ講義を受けて学ぶというよりも、自分たちで作っていくスタイルだったことが印象的でした。
海外の事例や、アメリカではどのように進めているのかといった具体的なお話を伺う中で、自分がもし製品を作っていったら、こういう流れになるのか、というイメージが持てるようになりました。
日本にいながら、海外でプログラムを受けているような感覚がありました。事務局
このプロジェクトに関わってみて、気になって実際にご自身の業務の中で調べてみたことはありますか。
大森
はい、ありました。
ビジネスモデルキャンバスに取り組む中で、「誰が購入を決めるのか」という話が出てきて、実際に自分の大学では医療機器の購買がどのように決まっているのかが気になり、調べてみました。
調べてみると、少額なものと高額なものではプロセスが違うことが分かりましたし、高額な場合には、教授会や上層部、事務方も含めて、複数の視点で判断されているということを改めて知りました。
また、費用対効果や、患者さんにどのような影響があるのかといった点も、しっかり見られているということが分かりました。
これまで私は、どうしても「使う側」のことだけを考えていたのですが、実際には多くのステークホルダーが関わっているということを、具体的に理解できたのは大きな気づきでした。
企業の方と話をする際にも、共通言語のようなものを少し持てた感覚があり、その点はとても良かったと思っています。事務局
一気通貫で、企画から事業化・臨床までを見せる、という点についてはどう感じましたか。
大森
最初にアイデアが生まれて、それが形になり、実際に製品として世に出ていくまでの流れを一連で見せていただいたことで、
自分はまだそこまで行っていないけれど、「この先こういうことが起こるかもしれない」「だから今はこれをしておく必要がある」というのが、非常に分かりやすくなりました。
一部分だけではなく、全体の中で自分が今どこにいるのかが分かるようになったのは、とても大きかったと思います。事務局
今後、このプログラムを通じて、次にやりたいことは何でしょうか。
大森
実際に製品化を見据えて、製販の企業さんとタイアップし、世に出す手前の試験をクリアするところまで進めていきたいと考えています。
次の一手としては、そこになると思っています。事務局
最後に、このプログラムに参加するか迷っている方に向けて、一言お願いします。
大森
一言で言うのは難しいですが、とにかく実践的に学べるプログラムだと思います。
医療機器開発を体系的に学べる機会は多くありませんし、自分のプロジェクトに実際に取り組みながら進められる点は、大きな特徴だと思います。東京科学大学
矯正歯科大森 浩子

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医師の孤独な決断を支える伴走。メンターと描く開発のロードマップ

事務局
まず、ご自身のご紹介をお願いします。
細矢
東京科学大学の膠原病リウマチ内科に所属している医師です。これまでは基礎研究を多くやってきました。
数年前から医療機器開発を行うようになってきて、医療機器開発は、私にとって非常にこう目新しい、これまでのキャリアにはなかった取り組みになります。事務局
このプログラムをどのように知りましたか。
細矢
飯田先生からイノベーションプロモーターに情報共有があって、それで知ったのがきっかけです。
私自身がちょうど医療機器開発に取り組んでいるタイミングでもありましたし、応募しようとした動機としては、やはりその医療機器開発というものに対して、いろいろと思うところがあったというのが大きいです。事務局
参加前、医療機器開発についてどのような課題を感じていましたか。
細矢
一番感じていたのは、医療機器開発はとても孤独な作業だということです。
いろいろな局面でいろいろな決定をしないといけないのですが、その決定をするための相談相手を見つけるのが、いちいち非常に労力がかかるというところがありました。
見つけられない場合は独立で決断しないといけませんし、その決断が本当に合っていたかどうかというのは、ずいぶん先まで行かないと分からないというところがあって、その点は正直、難しさを感じていました。事務局
実際に参加してみて、メンタリングについてはいかがでしたか。
細矢
医療機器開発には、企画、ニーズ調査、プロトタイピング、事業化、それから臨床理解と、いろいろなプロセスがありますが、それぞれのステップで生じた疑問に対して、必要なタイミングで詳しいメンターの方に相談できるという点は、とても助かりました。
私の場合は特に、その事業化、マネタイズのところで、十分に掘り下げができていないという課題を感じていましたので、すぐに坂口先生にアポイントを取って、そこを一緒に詰めてもらうという経験ができました。
また、医療機器開発という取り組みが、アカデミアのキャリアの中で実際にどういう位置づけになるのか、今後どう考えていけばいいのかという点についても、プログラムの中で相談する機会があり、その点も非常に参考になりました。事務局
学習チームについての印象を教えてください。

細矢
学習のプロセスとして、座学で入る割合に比べて、体験から学ぶ習得度が圧倒的に高いというのは、学習チームに参加することで非常に強く感じた点です。
さまざまなバックグラウンドの職種の方が、さまざまな開発段階のプロジェクトを持ってきているので、それぞれの人のプロジェクトがどう進行していくのかを見ることができますし、場合によっては、こちらから口を出せるところは口を出して、一部アイデアとして参加させてもらうこともありました。私自身の経験で言うと、石橋さんからはプロジェクトの考え方や進め方について非常に多くのことを教えてもらいましたし、片倉さんからは、ツールの使い方など、かなり実務的な部分をいろいろと教えてもらいました。
講義で学んだことを、自分のプロジェクトだけでなく、他の人のプロジェクトでもすぐに実践する機会があったというのは、私にとっても役に立ちましたし、結果的にチーム全体としてもうまく回っていたのではないかと思っています。事務局
デザイン思考については、どのように感じましたか。
細矢
医療機器開発に取り組む中で、私にとって一番ギャップになっていたのが、プロダクトデザインですとか、サービスのニーズ調査の部分でした。
ニーズをプロダクトに落とし込むためのプロセスとして、ここまで確立した方法論がちゃんとあるんだ、というのは、このプログラムに出会うまでは正直まったく認識していなかった部分です。
今取り組んでいるプロジェクトは、ある程度前に進んでいますが、今後2つ目、3つ目のプロダクトを考えていく際には、またシーズからデザイン思考をやっていくことになると思っていますので、その意味でも非常に役に立っていると感じています。事務局
プログラム全体の雰囲気はいかがでしたか。
細矢
一つのチームに複数の専門性を持った人をまとめてくださっているので、それぞれがそれぞれに対して、この部分では教える側にもなれるし、この部分では教わる側にもなれる、という関係が自然にできていたと思います。
私自身も、帝人ファーマの石橋さんやグーグルの片倉さんをはじめとして、他の参加者からいろいろと教えてもらうことが多く、その点はとても良かったと感じています。事務局
国際的な視点について、何か印象に残ったことはありますか。
細矢
国内と海外では、考え方や開発の進め方、スピード感に違いがあるということを、具体的な議論を通じて実感しました。
プログラムの中で先生方から伺った話や、他の開発チームの事例を聞く中で、タイムラインの考え方なども含めて、自分の見えている範囲が少し広がったように感じています。事務局
准教授・教授クラスの方が参加する意義については、どう思われますか。
細矢
アカデミアで生きていくためには研究が必要ですが、研究の種というのは無限ではないと思っています。
一つのテーマに固執してそこから広げていくやり方だけでは、これからのアカデミアではなかなかサバイバルしにくいのではないか、というのが今の見解です。
常に新しい分野に取り組んでいくことが、准教授になってからもまだまだ必要だと思っていますので、こうしたプログラムで新しい考え方や人に触れることには意味があると感じています。事務局
最後に、このプログラムを振り返って一言お願いします。
細矢
医療機器開発を通じて、いろいろな人と話をし、考える機会を持てたことは良かったと思います。
自分にとっては、頭を動かし続けるための、非常に良い経験になりました。東京科学大学
膠原病・リウマチ内科細矢 匡

